養生とは、読んで字のごとく「生(生命)」を「養う」ことです。有り難いことに我々の身体・精神活動の原動力でもある生命は自然環境と様々な命の恩恵を受けて生かされています。身体は命を守るための維持機能として、怪我や病気をすればそれらを修復しようと時には組織を破壊し、新しい組織を作るといった意識の及ばないところで活動を行っています。
それらの活動を弛まなく継続または、向上させる養いとして運動・栄養・休息を過不足なく行い続けることが重要となります。何事も信じられずに諦めてしまっている方には意味を成しえ難いものかもしれませんが、私どもとしては生命活動を全うするため、それぞれの症状や病気の原因に向き合い、適切な治療と養生を提供できればと考えております。
ここ数日、一時の酷暑も和らぎ、夜風が涼しく虫の鳴き声も良く聴こえるようになってきました。
秋の養生として素問・四気調神大論には、「秋の三ヵ月は容平という」とあります。「容平」とは内に収めるといった意味で、万物が実り形となって行く様をイメージして頂ければ良いかと思います。夏は外向きに作用する気の働きから、次第に内向きへと気の働きが変化する時期であります。
夏の疲れを残していたりして、外からの防衛力が落ちていると不意に冷えを受けて感冒を発症したりし易くなります。コロナ禍においてはとりわけ留意しておきたいところです。
この時期の養生としては、早寝早起きを心掛けて、季節の移ろいを感じながら心を穏やかに過ごすことがポイントとなります。